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安田記念における岩田騎手の騎乗について

安田記念のロードカナロアは文句なしに強かった
が、残念ながら今年の安田記念は後味が悪い…
( ̄_ ̄;)

第63回 安田記念について

ロードカナロアは文句なしに強かった。
戦前の予想の段階で、自分はロードカナロアはサクラバクシンオーに近いタイプだと思っていたが、実際はタイキシャトルに近いタイプが正解だったみたい。これは認識を改めねば。ま、それはいいとして…

勝利後のインタビュー、岩田騎手の表情やテンションは昨年のジャパンカップの時に酷似していた。つまり、本人も自分が悪い事をしたという認識が少なからずあるんだろう。この辺、彼の人間性が垣間見える。たぶん、彼は根っからの悪人ではない。

ジョッキーに限らず、サッカーの場合の点取り屋や格闘家、アイドルの世界なんかも同じだと思うが、ひとつのフィールドでその世界のトップを争うような人間に、お人好しはいないと思う。何処かに自分さえ勝てばいいといった意識は絶対にある。俺様的な我がままな気性は、順位を争う世界では必須だろう。

今回の岩田騎手には過怠金10万円の制裁が科せられたが、審議にはならなかった。つまり、現在のJRAのルールでは、あの騎乗はセーフということ。岩田騎手はルールの中でライバルを妨害(ルールの不備を最大限利用することに成功)して勝利したわけだから、そういう意味ではプロ中のプロと言える。

大昔、明らかに能力の劣るクライムカイザーで、能力に勝るトウショウボーイの進路をカットしてダービーに勝利した加賀武見と同じ。ラフプレーではあっても反則にはならないギリギリのライン。サッカー選手の手を使ったプレーみたいなものだ。ただ、サッカーの世界と違うのは、競馬の世界ではあの岩田騎手の騎乗は決して尊敬はされない。何故か? 競馬の世界ではルールだけでなく、マナー(暗黙のルール)も守らなければ命に関わる事もあるからだ。

昨年のジャパンカップの時と同様、今回の安田記念でも岩田騎手の前の週に武豊騎手がG1に勝利している。そして、マイルチャンピオンシップのサダムパテックの時も、今年の日本ダービーのキズナの時も、武豊騎手は彼にしては珍しく少し強引な進路の取り方をして勝利している。アンチ豊の中には彼のこの2つの騎乗を非難する人間もいるようだが、ある程度のキャリアのある競馬ファンや競馬関係者で、あの2つの彼の騎乗を問題視する人間はいない。

ひとつの見方として、武豊騎手の多少なりとも強引な騎乗は、自分の乗っている馬の能力を最大限発揮するための行為。岩田騎手の強引な騎乗は、自分の馬が有利になるように、他馬の能力発揮を妨害するための行為。同じ強引な騎乗でも、目的が違うということはある。結果的に他馬の邪魔となっているんだったら、目的は違っても同じじゃないか?という人もいるかもしれないが、2人の行為に天と地ほどの違いがあるというのは、目の肥えた競馬ファンなら誰でも分かる。

往年の安藤勝己騎手の勝利の中には、彼ならではの上手い騎乗で勝利したレースが少なからずあった。しかし、安藤勝己騎手の騎乗は「上手い」とは言われても「汚い」とは言われなかった。行為の目的としては、安藤勝己騎手のそれは武豊騎手よりも岩田騎手の方に近い。にも関らず、安藤勝己騎手は非難されずに岩田騎手の方だけ非難されるのは何故か? ひとつには岩田騎手のアクションが露骨で、安藤勝己騎手のアクションがさり気ない感じだったというのがある。安藤勝己騎手の方は「テクニック」。岩田騎手の方は「ラフプレー」。そういう風に見せる上手さが安藤克己騎手にはあったということ。そして、それは紛れもなく騎手としての技量だろう。

そして最も重要なのは程度の問題。安藤勝己騎手の騎乗は騎手の間の暗黙のルールを破るほどの危険なものではなかったというのが大きいのではないかと思う。だからこそ、安藤勝己騎手の騎乗を露骨に非難するジョッキーはいなかった。あるいは、やられた方に「相手が一枚上」と思わせるような騎乗だったのだろう。

上手い騎乗と卑怯な騎乗の境界線は難しい。見る人間、受け取る側によって見方も変わる。でも、その曖昧な境界線を越えるか越えないかで競馬の安全性やレースの方向性は変わってくると思う。「やったもん勝ち」「降着にならなければ何をしてもOK」という意識の騎手&騎乗が増えれば間違いなくレースは荒れるし、競馬本来の「より速く強い馬を作る」という理念は崩壊してしまう。

こんな事をいちいち考えなければならないのは、JRAの現在のルールが余りにもお粗末に過ぎるからに他ならない。2013年から適用されている『入線した馬について、「その走行妨害がなければ被害馬が加害馬に先着していた」と裁決委員が判断した場合、加害馬は被害馬の後ろに降着』というルールは、一見すると公明正大なルールに思えそうな内容だが、競馬を分かっている人間から見れば狂気の沙汰としか思えない。

レースというのは最後の最後まで誰にも結果などは分からない。昨年の凱旋門賞、あのゴール間際のオルフェーヴルの失速を誰が予想し得ただろう? もしあの凱旋門賞で、直線手前でオルフェーヴルがソレミアの進路を妨害して勝っていたとしたら? JRAの採決員は果たしてオルフェーヴルを失格にしただろうか? あるいは今年の日本ダービー。直線でキズナの進路が狭くなった際には、多くの人が「これはダメだ。届かない」と思ったはずである。裁決委員というのは予知能力を持った超能力者の集団なのだろうか? 神様でもない限り、未来は誰にも分からないはずなのに、その分かりようもない未来(あるいは過去)を基準に「たられば」で降着を判断するなどというルールは即刻変更すべきだろう。

今回の安田記念では、直接の不利を被った3着のダノンシャークと、間接的に不利を被った2着のショウナンマイティの陣営以外が岩田騎手を非難することは出来ない。岩田騎手の騎乗は現行のルールを逸脱してはいないからだ。しかし、大レースの度に今回の様な採決が続けば、いずれは「降着になるくらいなら落馬させてしまえ」、あるいは「接戦になる前の早い段階で潰してしまえ」といった騎乗をする騎手が出て来ても不思議ではない。

ルールに不備は付き物かもしれない。しかし、最低限、誰でも何時でも判断が同じである事は絶対条件だろう。時と場合によって解釈が違うのであれば、それはルールとは言えない。決まり事ではないからだ。

競馬に限らず、日本の裁判には首を傾げざるを得ない判決も多々ある。故意に人を殺したら無期懲役だが、事故で人を殺しただけだから執行猶予。人を殺した際に心神喪失状態だったから減刑とか。人を殺した事実に変わりはないはずなのに、刑罰の内容には天と地ほどの差が出るような国である。全国民に関る法律でさえ不備があるのだから、競馬のルールに不備があるのは当然かもしれないが…

今回の安田記念、ロードカナロアのパフォーマンスは本当に素晴らしかったはずなのに、印象に残っているのは勝利ジョッキーインタビューの時の岩田騎手の微妙な表情のみ。忸怩たる思いというか…。マイラー、スプリンター、中距離ランナーの一流どころが揃ったハイレベルなG1競走だったはずなのに、後味が悪いのは残念でならない…

(TロT)


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by a-power | 2013-06-04 11:34 | 競馬
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